4月15日は、湯前町出身の漫画家・那須良輔の誕生日です。
1913(大正2)年、熊本県の湯前村(現・湯前町)に生まれた那須良輔は、幼い頃から絵を描くのが大好きな少年でした。
19歳の時、両親の反対を押し切って上京し、洋画家を目指して修行に励みます。
太平洋美術学校予科で学びながら、内職のつもりで漫画の持ち込みをはじめたのがきっかけで、実業之日本社から児童漫画家としてデビュー。
児童漫画家としての仕事は戦後も続き、生きものへの慈愛とユーモアに満ちた筆がいかんなく発揮されています。
<モグラのMOGUちゃん(1)>
日中戦争勃発から終戦にかけては、三度の召集を受けるなど漫画家としての仕事の多くを戦争に奪われますが、1948(昭和23)年に再上京し、近藤日出造、清水崑、横山隆一ら「漫画集団」の盟友たちとともに、戦後の漫画界の発展に大きく貢献。
特に、1949(昭和24)年に始まった毎日新聞紙上における政治風刺漫画の連載は、1989(平成元)年、良輔が75歳でその生涯を終えるまで続き、自身にとって最長の同一紙における連載期間となりました。
また、『週刊言論』、『文藝春秋漫画読本』、『週刊東洋経済』などのメディアで政治風刺漫画や人物評を担当し、戦後昭和史をその終焉まで批評し続けました。
また、晩年は作風の幅をさらに広げ、風景画や動植物画、詩歌をテーマにした作品など、多彩な表現を追求しました。

<甲斐の富士>

<蛙図屏風>

<入水見長人>

<佐竹本三十六歌仙絵巻戯写の内 中務>
湯前まんが美術館では、那須良輔が描いた7,213点の原画をはじめ、遺品、蔵書等全て合わせると1万点を超える那須良輔資料を収蔵・展示しています。
2025年には、那須良輔・横山隆一・北沢楽天の3人を中心に、明治から昭和にかけての日本の漫画文化の発展を取り上げる全国巡回展「これが漫画!展 日本の漫画を創った時代~楽天・隆一・良輔~」
が、当館を起点として始まります。
日本漫画史に確かな足跡を残した良輔の仕事を未来に伝える美術館として、これからも歩み続けます。
☆本記事内では、2022年に湯前町が発行した『マンガふるさとの偉人 那須良輔物語 風を描く人』
の画像を使用しています。無断転載を禁じます。
☆記事内で紹介した資料は、常設展示室にて2025年5月6日(火曜日)まで開催中の「那須良輔の世界」展で展示しています。会期中にぜひご覧ください。